カンナビジオール(CBD)が、抗不安薬、血液希釈剤、さらには鎮痛剤へどのような影響を与えるのでしょう?この記事では、専門家による意見を共有します。

CBDはまだ研究の途中

大麻に含まれる主要な成分のひとつであるカンナビジオール(CBD)への感心は、世界的に高まっています。

CBD産業が日本より進んでいる米国では、既に市販のシャンプーやローション、入浴剤にまでCBDが進出し、CBDを使用したスムージーやビール、グミさえあります。

医療専門家を含む多くの人は、不安、不眠、痛みなどの様々な不調の管理にCBDが役立つと言います。しかしながら、この化合物を規制または認可するシステムはまだほとんど無く、効果の研究についてもまだ不十分です。

「まだまだ研究の途中です」と、アメリカ認定の皮膚科医であり、ハーバード大学でモース術の確かな技術を持つ外科医、ミシェル・ヘンリーは言いました。

そのため、ユーザーの生活にどのような影響があるのか、特に、他の不調のために薬を服用している場合、いくつかの問題が生じる可能性があると、専門家は指摘しています。

CBDがほとんどの薬物と相互作用する?

CBDの研究者であり、アイカーン医科大学の中毒研究所の所長であるヤスミン・ハードによると、CBDが人が服用している他の薬にどのような影響を与えるかについて、ほとんど解明されていないそうです。

しかしながら、この物質が、経口摂取される多くの薬剤と良くない相互作用を引き起こす可能性があると、彼は考えています。

CBDは特定の酵素の働きを阻害する?

この意見に同意する他の専門家もいます。市場に出回っている医薬品のほぼ60%は、シトクロムP45 またはCYP450 という肝臓酵素を介して代謝されます。

これは、偶然にもCBDを分解するのと同じ酵素です。以前の研究では、CBDがCYP450酵素の働きを強く阻害することが示唆されています。

酵素で分解されるはずの薬の効力が高まる

つまり、別の薬と一緒にCBDを服用した場合、酵素がブロックされることで薬がいつまでも体内に残り、予期した以上の作用が発生する可能性があります。

血液希釈剤との併用の場合

「だから、ワルファリンやクマジンのような薬を飲んでいるとしましょう。これは、多くの患者に血液を薄くするために本当によく使う薬です」と皮膚科外科医のヘンリーは言いました。

「CBDがワルファリンの代謝をブロックした場合、そのワルファリンはより活性になり、毒性になるか、他の問題を引き起こす可能性があります。」

ワルファリンのような血液希釈剤の場合、「他の問題」とはつまり、外傷性出血または危険な多量出血を引き起こす可能性があります、と彼女は付け加えました。

向精神薬との併用の場合

同じことが、不安の治療に使用されるザナックスやアティバンのような向精神薬にも当てはまります。CBDをこれらの薬剤のいずれかと併用すると、副作用が増加し、鎮静または眠気を感じる可能性があります。

医師によると、稀に、薬との飲み合わせによって有毒になったり、呼吸器系に干渉したりすることがあります。さらには、特定の抗生物質や非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が、CBDの摂取によって変化するのではないかとの疑いもあります。

その他の薬にも影響を与える

コロンビア特別区保健局によると、CBDが、併用する薬の血清中濃度を高める作用がある可能性を示しています。この報告の中では、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗レトロウイルス薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬が含まれています。

CBDにはグレープフルーツに似た作用がある?

グレープフルーツの作用を聞いたことがあるかもしれませんが、柑橘系の果物は、主にコレステロール薬、血圧薬、アレルギー薬などの特定の薬の吸収方法を損なう可能性があります。

ハーバード大学医学部は、同じようなメカニズムがCBDにあることを報告しています。医師によると、グレープフルーツは、CBDがブロックするのと同じ肝臓酵素を阻害します。したがって、グレープフルーツジュースは、CBDと同様に血液中の他の薬物の濃度を高める可能性があります。

影響の大きさは投与量に依存する

あなたの体でどの程度の影響があるかは、主にあなたが服用している薬とCBDの投与量に依存します、とCBD研究者のハード氏は言いました。

血中のCBD濃度が高いと影響も大きい

ハード氏によると、「CBDの血中濃度が非常に高い場合、それらの酵素の働きが阻害される可能性があるため、薬物がより大きな働きをすることになるでしょう。」と述べています。

少ない量のCBDであれば影響は少ない

反対に、CBDの量が非常に少ない場合は、身体に影響を及ぼすほどの効果はないようです。しかしながら、CBDが安全であるとみなされる程度や基準を判断するための十分な研究は、まだありません。

CBDが薬に与える影響は、摂取タイミングでも変わる

CBDと他の薬の両方を服用するタイミングも重要な要因になります。

薬の投与量を減らせる可能性がある

CBDが持つ肝臓酵素を阻害する能力は、用量に応じて数時間後には低下すると見られています。そのため、1日の異なる時間に薬とCBDを服用することで、深刻な薬物相互作用のリスクが低くなり、薬自体の投与量も減らせる可能性があります。

「薬の投与量を減らすことは、肝臓の仕事量を減らすのに役立ちます」とハードは説明しています。

薬物に対する反応は個人差が大きい

最後に、誰もが薬物に対して異なる反応を示します。特定の物質に非常に敏感な人もいれば、ほとんどまたはまったく反応しない人もいます。

最終的に私たちの体が薬物をどのように処理するか、そしてそれがどのような効果をもたらすかは、遺伝、年齢、体の大きさなどによって大きく影響されます。

結論:医師に相談せず併用はしないでください

ハーバード大学の外科医であるヘンリー医師は、特定の抗不安薬や血液希釈剤など、同じ肝臓酵素によって代謝される薬を服用している場合はCBDを控えることを勧めています。

確信が持てない場合は、併用する前にCBDに知見のある医師に相談するのが賢明です。

「多くの人は、CBDは良性で安全であると考えています。確かにそれは、世の中にある多くの薬に比べて比較的安全ですが、同時に生理活性効果も持っています」と、CBDの研究者ハード氏は言いました。

CBDを使用する際には、薬を身体に入れたりつけたりするのと同じように、慎重に考え、可能な限り副作用の可能性を正確に知ることが最善です。

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