カンナビジオール(CBD)は、身体の様々な不調に対して自然的な治療効果をもたらすことが解明されつつある、カンナビノイドの一種です。

その注目の側で、CBDと同じく麻由来の成分の1つであるテトラヒドカンナビノール(THC)という成分についても語られます。実際のところ、これら2つの成分の違いについて正しく発表できる人は半数以下です。この記事では、麻に含まれる2大成分であるCBDとTHCの違いと、それぞれが私たちにもたらす働きについて検討します。

カンナビノイドとはなんですか?

カンナビノイドとは、麻(大麻草)に含まれる化学物質の総称です。現在、麻特有の成分として60種類を超える成分が種類別されています。繰り返しになりますが、カンナビジオール(CBD)はカンナビノイドの一種です。麻に含まれる60種類以上のカンナビノイドの中でも、含まれる割合が多い2種類の代表的な成分が、CBDとTHC(テトラヒドカンナビノール)です。

CBDとTHCの明確な違いは精神作用の有無

一般的な嗜好用の大麻は薬物として扱われ、日本及び多くの国々で禁止されています。その”ハイになる”や”キマる”といった作用を及ぼす原因となる成分が、テトラヒドカンナビノール(THC)です。

カンナビジオール(CBD)には、THCのような精神作用はありません。これは、CBDについて、人々が混同してしまうポイントの1つです。研究によると、CBDを含むその他の多くのカンナビノイドは、THCのような精神作用を及ぼさないことを示しています。

法的な扱いの違いと副作用の有無

精神作用をもたらすTHCは、依存性や離脱症状を使用者にもたらすことから、薬物として扱われ多くの国と地域で違法な成分として扱われます。日本で違法であることは言うまでもありません。

研究者によると、CBDは精神作用を表さず、服用による副作用もほとんど発現しない、安全な成分とされています。人によっては稀に軽微な副作用が発現する場合もありますが、多くの場合重大な症状になる可能性は極めて低いことが分かっています。

CBDは、日本を含む多くの国で認められた、法律に違反しない成分です。WADA(世界アンチ・ドーピング機構)によってもCBDは認められており、アスリートたちも安心して摂取できる成分です。(*2

WHO(世界保健機関)もCBDの安全性と、身体に対する多くの利点の可能性を認めていることからも、安全な成分であることがわかります。(*3

CBD及びTHCが私たちに及ぼす影響

繰り返しになりますが、THCは精神作用や依存性がある多くの地域で違法な成分、CBDは精神作用が無く目立つ副作用を発現しない安全な成分で多くの地域で合法な成分です。

CBD及びTHCには、私たちの健康に対する多くのメリットをもたらす可能性が明らかになっています、以下に、その一例を示します。

CBDの効果

CBDがもたらす可能性のある利点(一部)
  • 抗炎症・痛みを和らげる
  • 抗不安・抗うつ作用
  • がん関連症状の緩和
  • 抗腫瘍・細胞を健康に保つ
  • にきびを減らす
  • 神経保護作用(てんかんや多発性硬化症など)
  • 心臓の健康・高血圧の抑制

CBDは、広く言えば、身体や精神の落ち着きや恒常性を保つ働きをもたらします。特に、抗不安作用と抗うつ作用、神経保護作用によるけいれんの発作を抑える力は、これまで治療が困難だった多くの病の症状を抑える効果が期待されています。

また、強い抗炎症作用をもたらし、炎症に起因する痛みを和らげる効果が認められています。精神保護作用よる睡眠障害の改善や、抗不安作用や抗ストレス、抗うつ作用による、精神障害の治療にも効果的との研究結果が報告されています。

CBDの医療効果についてはまだ研究段階のものも含め、今後さらに多くの用途が明らかになっていくでしょう。

THCの効果

THCがもたらす可能性のある利点(一部)
  • 陶酔効果と筋弛緩効果
  • 食欲の増進
  • 鎮痛効果
  • 嘔吐の緩和

THCは一般的には、いわゆる麻薬的な作用があることから悪いイメージで語られがちですが、CBDとはまた違った医療効果が認められています。実際のところ、アメリカなどの医療現場ではがん関連症状や化学療法の副作用を抑えるために、CBD及びTHCを含んだカンナビノイド系治療薬(例:サティベックス(英語表記:Sativex®)が実際に使用されています。

THCの効果は、CBDとは対象的に、身体機能を活性化、または麻痺させるような効果をもたらします。代表的なのは鎮痛効果で、ひどい疼痛の痛みを計画的に抑えるために、科学的な薬品に変わる魅力的なオプションとして重宝されます。

また、嘔吐を抑えたり食欲を増進したりと、がん関連症状として見られがちな諸症状を改善する効果が明らかになっています。

まとめ

CBDとTHCの違いは?

CBDとTHCはどちらとも、麻由来の固有な成分、つまりカンナビノイドの一種ではあるが…

・THCは精神作用があり、CBDにはない
・多くの国においてTHCは違法だが、CBDは安全で合法な成分
・THCは使用者に依存性や離脱症状を発現するが、CBDは使用による副作用が極めて少ない
・CBDの主な効果は抗炎症と神経保護作用で、身体の恒常性を保つ方向に働きやすい
・THCの主な効果は陶酔効果と鎮痛作用で、身体の活動を活発化または麻痺させるような方向に働きやすい

CBDとTHCには、それぞれ優れた医療効果をもたらす可能性が示されており、今後もさらなる研究がなされて行くでしょう。一般的に、この2つの成分が並べられたとき、CBDは善、THCは悪のように語られがちです。しかし、扱いに注意が必要なTHCにも、医療的に優れた可能性が秘められており、一概に目をそむけることは利益に繋がらないと考えています。今後もさらなるカンナビノイドの有効性が実証され、私たちに利益がもたらされるようになることを望みます。そのために、私たちもこれらの成分について、より深く学ぶ必要があります。