近年、世界中でブームになっているCBD（カンナビジオール）。近年健康志向が高まっている日本でも、CBDブームの波が訪れるのは時間の問題でしょう。
CBDは、国内でも法的に認められた安全な成分であり、ストレスや不安、鬱や睡眠障害、てんかんなどの体の不調に効果的であるという研究結果が多数報告されています。
さて、CBDを語る上で欠かせないのが、同じく大麻由来の成分の一つである「THC(テトラヒドロカンナビノール)」です。両者は科学構造的には兄弟のような関係にも関わらず、我々に与える作用や効果・法規制が大きく異なります。
大麻に含まれる２大成分
大麻(たいま)もしくは麻(アサ)植物は、古来より薬草として用いられてきた他、食物、油、繊維(布)、紙、建築資材などに広く活用されてきました。日本の神道では神聖な植物とも言われ、祭事でも麻は重用されています。
そんな大麻には、100種類以上の麻特有の成分が含まれています。これらを総称して「カンナビノイド」と言われますが、カンナビノイドの中でも特に含有量が多い「２大成分」が、CBDとTHCです。
CBDとTHCの違い
繰り返しになりますが、CBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)は科学的な構造は似ていても、我々に与える実際の作用や効果、そして法規制は大きく異なります。
THC（テトラヒドロカンナビノール）
THCについては、「向精神作用を持つ。」そして「違法な成分である。」という２つを覚えておいてください。
THCがもたらす精神作用は、私達がいわゆる「ドラッグ」に抱いているような怖いメージとはかなりギャップがあります。THCを摂取すると、陶酔や酩酊状態になることがあり、食欲が刺激されます。人によっては多幸感や清々しい気分を感じることもあります。
THCの依存性はカフェインなどと同程度とされており、タバコやアルコールなどと比較してどちらが危険か？という議論は絶えることがありません。
日本では「違法」な成分であり、大麻と同様に厳しい規制の対象となっています。このあとの「CBD」と認識を混同しないように、くれぐれもご注意ください。
CBD（カンナビジオール）
CBDにはTHCのような精神作用はありません。そして、日本を含めた世界中で安全性が認められており、法律でも認められた合法な成分です。
CBDはむしろ、THCと一緒に摂取した場合にTHCの精神作用を打ち消し、良い相互作用を生むという研究もあります。
CBDには、多数の医療的メリットが示唆されています。多くの研究結果は非常に有望であり、近年ではてんかんの治療や、その他多くの諸症状の治療にCBDが用いられるようになってきています。
CBDとTHCの作用・効果
CBD及びTHCは、私たちの健康に多くのメリットをもたらす可能性があります。
CBDはてんかん、その他多くの症状を緩和する
- てんかんの発作を治療する
- 抗炎症・痛みを和らげる
- 抗不安・抗ストレス・抗うつ作用
- がん関連症状の緩和
- 抗腫瘍・細胞を健康に保つ
- にきびを減らす可能性
- 神経保護作用（発性硬化症などを治療）
- 心臓の健康・高血圧の抑制
CBDの最大の特徴は、これまで治療が困難であった「てんかん」の発作の発現を大幅に抑制する効果が明らかになっていることです。さらに、神経の保護や過度な不安・ストレスを感じにくくすることを助けます。抗炎症作用は、筋肉や関節・皮膚炎などの治療に応用されることが期待されています。
CBGが持つ潜在的なメリットの可能性として、がん細胞や腫瘍の抑制、心臓の保護、にきび、糖尿病の治療など、様々な医療効果が列挙されていますが、これらはまだ研究段階です。確かな効果があると結論づけるには、まだ十分な研究が足りていません。
THCも一部の地域では医療に活用されている
THC（テトラヒドロカンナビノール）には精神作用があるため、一見「危ない」イメージを持たれるかもしれませんが、一方で健康に役立てられるメリットも存在します。一部の医療大麻先進国では、既に医療に活用され始めています。
- 陶酔効果と筋弛緩効果
- 食欲の増進
- 鎮痛効果
- 嘔吐の緩和
- 癌腫瘍を抑制する可能性
THCは、疼痛(とうつう)の緩和や食欲の増進、嘔吐感の緩和に効果的であることが分かっています。そのため、癌患者に対する化学療法の副作用を緩和するための治療薬として活用される場合があります。
潜在的なメリットとして、癌(がん)腫瘍の成長を抑制したり、転移拡大を抑える効果も示唆されています。THCは多くの地域で違法な成分ですが、一方的に「悪」と決めつけるのではなく、使い方によっては私達に大きな恩恵をもたらす可能性があることを留意しておいてください。
CBDは本当に安全ですか？
ここまでCBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)の違いとそれぞれが持つ作用・効果について紹介してきましたが、CBDを使用することは、本当に安全なのでしょうか？
WHO「CBDに大きな副作用は無く安全です」
WHO（世界保健機関）は、CBDの安全性と、身体に対する多くの利点の可能性を認めています。
アンチ・ドーピング機構でも禁止から除外
WADA（世界アンチ・ドーピング機構）によってもCBDは認められており、アスリートたちも安心して摂取できる成分です。
ただし、不安要素もあります
CBDは基本的に大きな副作用が無く、安全であると認められています。しかし、それは「CBD単体」での評価です。例えば、果物のオレンジはいくつかの薬との飲み合わせによって、薬の薬効を想定以上引き出すことで副作用を生む可能性があります。
いくつかの研究によると、CBDはオレンジと同じように、特定の酵素の活動を阻害することで一緒に摂取した薬物の代謝を遅らせる作用を持つ可能性を示しています。既に普段飲んでいる薬がある場合、CBDを摂取する前に、あらかじめ専門の医師に相談するのが最善です。
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