麻由来の健康に有益な成分、CBD(カンナビジオール)が、世界的なブームとなっています。

この記事では、CBDが持つ効果や作用、私達の身体にどんな影響を与えるのか?そして、CBDがそのような作用をもたらす仕組みを科学的論拠からお伝えしていきます。

CBDの効果は私達の生活をどう変える?

CBD(カンナビジオール)は、主に麻から抽出される成分です。

“麻”と聞くと、マリファナなど薬物のイメージが連想されるため、初めて聞いたのであれば怪しい」「大丈夫なの?と不安に思う方がほとんどだと思います。

CBDは安全性が認められた成分です

「CBDは合法であり、安全性が認められた成分」であることを始めに言っておきます。

世界保険機関WHOの報告書では、CBDの医療的メリットと安全性が認められました。また、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)においても、CBDが規制対象から外されています。

では、CBD(カンナビジオール)が今世界的に注目されているのはなぜなのでしょうか。CBDは、我々ヒトの身体にどのような効果・作用をもたらすのでしょうか。

CBDに秘められた多くの健康的な作用

主にアメリカを中心として、CBDに関する多数の研究が行われています。これらの研究によると、以下のような症状に対する、CBDの医療的効果が認められています。

精神疾患の治療

てんかん、小児てんかん、多発性硬化症、うつ病、不安症(不安障害)、不眠症、アルツハイマー病、統合失調 など

諸症状の緩和

吐き気や嘔吐、疼痛などのがん関連症状、炎症、関節痛、リウマチ、筋肉痛、にきび、腫瘍、がんの予防、糖尿病 など

障害を抱える人のサポート

薬物乱用者の治療、ADHD、自閉症、ダウン症患者の生活のサポート など

日常の生活の質をサポート

抗ストレス、抗不安、睡眠の質の向上、リラックス効果、禁煙サポート など

CBDがこれらの効果をもたらす仕組み

身体機能を調節するECS

私達の身体には、あらかじめ身体機能を一定に保つための調節機能が備わっています。それが、ECS(エンド・カンナビノイド・システム)です。

研究によると、人間を含め多くの脊椎動物にあらかじめ備わっているとされています。

ECSは、食欲、運動機能、痛み、免疫調整、感情の制御、認知と記憶、神経保護、発達と老化などの様々な機能を調節し、細胞同士のコミュニケーションを支えています。

体内には多くの「カンナビノイド受容体」が分布しており、体内で分泌される内因性カンナビノイドを受容体が認識することで、上記で挙げたような様々な機能を調節しています。

(日本臨床カンナビノイド学会編『カンナビノイドの科学』の一部を抜粋した小冊子より)

ECSに直接働きかけるCBD

CBDは、この身体調節機能に直接働きかけることができます。その結果、多くの健康に対するメリットが生まれるのです。

最近の研究では、外部から大きなストレスを受けたり、加齢に伴う老朽化によって、ECSの働きが弱まり、「カンナビノイド欠乏症」になることで様々な疾患を引き起こす原因になることが明らかになっています。

CBDは、全身にあるカンナビノイド受容体に直接働きかけることにより、本来あるべきECSの働きを取り戻してくれます。

カンナビノイドとは

ECS(エンド・カンナビノイド・システム)の「カンナビノイド」とは、もともと「麻に含まれる特有の成分の総称」です。

なぜ、身体にもともと備わっている機能に、麻の成分の名前がついているのでしょうか?これは、麻の研究が元で身体調節機能(ECS)が発見された経緯が関係しています。

麻の研究が進み、麻特有の成分(カンナビノイド)が多数あることが分かりました。その後の研究で、実は動物の体内でもそれと同じような化合物が生産されていることが明らかになりました。

これらが我々の身体機能の調節に密接に関わっていることが分かったのはごく最近のことです。

そのため、体内で生産されるカンナビノイドを内因性カンナビノイドと呼び、それらが織りなす身体調節システムをECS(エンド・カンナビノイド・システム)と呼ぶようになりました。

CBDはどのように作られる?

麻には「インディカ種」「サティバ種」など多くの品種が存在しますが、CBDを抽出するために、品種改良が行われ、CBD含有量の多い品種も作られるようになりました。

それと対照的なのが、ドラッグとして知られる「マリファナ」です。こちらは、CBDの含有量が少なく、同じくカンナビノイドの一種である「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が多く含まれる品種が用いられています。

CBDとTHCの違いは?

CBDとTHCは明確に区別がされており、CBDは合法、THCは日本を含め多くの地域で規制対象です。CBDには体内の機能の恒常性を保つ働きがある一方、THCには陶酔作用、いわゆる「ハイになる」ような作用があり、体内の活動を活性化させたり、痛覚を麻痺させたりといった効果がります。

CBD…体内の機能を平常に保つ、リラックス

THC…体内の機能を興奮させる、陶酔作用

THCは精神作用や依存性などの危険要因がある一方、米国や欧州の一部では、がん治療における痛みの緩和や食欲の増進など、医療用途でCBDと共にTHCが処方されています。なお、日本ではたとえ医療目的であってもTHCは違法な成分です。

CBDは、麻のどの部分?

日本では、違法成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含む、「麻の穂」の所持・加工などが禁止されています。そのため、市場に出回っているCBD製品は、麻の種子または茎から抽出されています。

CBDを含む製品を販売する際には、THCが含まれていないことを証明する検査報告書を提示することが一般化しています。

海外では主に製品中0.3%以上のTHCが検出されると違法に、日本では0.1%未満というさらに厳しい基準が設けられています。

CBDは今後日本でどうなる?

世界で注目される成分となったCBD(カンナビジオール)。

日本では原料である麻を栽培することは基本的に違法であり、THCに対する規制も海外より一層厳しく設定されています。

また、日本国内で厳密にTHCの有無を検査できる機関は存在せず、現段階では日本国内での製造・販売のハードルが高く、リスクも伴います。そのため、多くの大手製薬会社が手を出しにくい状況です。

今年は東京オリンピックがあり、海外から多くのCBD製品が日本に持ち込まれることが予想されます。今後、日本のCBDに対する販売基準や検査基準が明確化されれば、多くの製造メーカーがこぞってCBD製品の開発に着手することは容易に想像できます。

CBDを使う際の注意点

検査機関や販売基準が明確化されていないことに起因して、CBD製品を国内で購入・使用するにはいくつかの注意点があります。

THCが全く入っていないことを確認する

CBDとTHCは明確に区別され、日本では海外以上にTHCに対する規制が厳しいとお伝えしました。

海外で販売されているCBD製品を検査なしで国内に持ち込むと、後に検査した際に国内の基準を上回るTHCが検出されて規制対象になる可能性があります。

そのため、CBD製品を購入する際には必ず、THCが全く含まれていないことに注意して購入するようにして下さい。

実店舗、ネットショップを問わず、正規の販売者は、メーカーが公表している成分調査結果を公開しているはずです。それが証明できない場合は購入を控えましょう。

本当にCBDが入っているか確認する

アメリカFDA(食品医薬局)によるCBD製品の抜き打ち検査によると、ラベル表示よりもCBD含有が極端に少ない製品がかなりの割合で発見されたことがわかりました。

販売されている製品は信頼に足る製造者によるものなのかを、私達購入者が各自で判断する必要があります。

CBDの効果は人によって個人差があり、中には体質により効果を全く感じない人もいます。製品中のCBDの量が半分である製品とブラインドテストをした場合、ほとんどの人が正解を見抜くことは難しいでしょう。

人気が高いCBDメーカーや、海外での販売実績のあるブランドの製品を選ぶことで、ほとんどの場合は解決すると考えています。

古来から麻の力に気がついていた?

神社の麻縄

「麻」には古来から不思議な力があるとされており、万能薬として使われきました。

古代中国における伝説の三皇五帝のひとりである神農は、病気の治療のために麻から酒をつくることを勧めたと伝えられています。

他にも、日本では昔から麻が魔除けとして用いられてきました。

神道においても麻は神聖な植物とされており、神様が麻の草木を伝って地上に降りたという記述も残っています。

例えば、神社で参拝する際に鳴らす鐘からぶら下がっている紐など、多くの場面で麻が神聖なものとして重宝されてきました。

これらのことから、昔の人も科学的ではなく体感として麻が持つ何らかの力を感じていたのではないでしょうか。