今、世界で話題になっている注目の成分「CBD」。

CBDオイルやCBDリキッドを説明する際に、「大麻が原料なんです」と言うと、度々返ってくる質問があります。それは、

「CBDを使うとキマるの?」

ということです。彼らが言う「キマる」とは、要はいわゆる「薬物を摂取した時のような酩酊状態」を感じることです。

CBDを摂取してキマることはあるのか?もしくは、ハイになったり、気分が爽快になったりすることはあるのか?CBDが私達の精神や心に与える影響について解説します。

「キマりたい」人に残念なお知らせ

まず、キマることを期待していた方に残念なお知らせです。

CBDには、いわゆる「キマる」作用はありません。

もし、CBDを摂取して「キマった」もしくは「キマる気がする」という隣人を見かけたら、彼(彼女)とは距離を置くべきかもしれません…。

とは言いつつも、そんな彼らは完全に嘘をついている訳では無いかもしれません。CBDを含む製品(CBDオイルやCBDリキッドなど)を摂取することで、潜在的に「キマる」可能性が無い訳ではないのです。

CBDリキッドでキマるための方法

CBDリキッドを摂取してキマる(ように感じる)可能性としては、以下の理由が挙げられます。

CBD製品の中にTHCが入っていた

CBD(カンナビジオール)は、大麻植物で生成される主要な成分のひとつです。そのCBDが抽出され、オイルなどと混ぜられて「CBD製品」として販売されます。

CBDを説明する上でよく引き合いに出されるのが、「THC(テトラヒドロカンナビノール)」という成分です。これは、CBDと同じく大麻(特にマリファナ)の主成分であり、向精神作用を持つ成分です。効果の出方は人それぞれですが、THCを摂取すると、陶酔、酩酊などを感じることがあります。

一般的に、CBDを抽出するために栽培される大麻にはTHCがほとんど含まれません。この大麻を「ヘンプ」と呼びますが、レクリエーション目的で栽培される大麻(=マリファナ)とは植物の品種自体が異なります。

しかしなら、ヘンプにも微量のTHCは含まれています。CBDを大麻から抽出する段階でTHCを完全に排除することは難しく、米国では製品中0.3%未満のTHCが含まれるCBD製品の販売を認めており、それには「THCフリー」のラベルが貼られることがあります。

一般的に、この微量のTHCは私達に精神作用を与える程の力を持ちませんが、THCの感度が高い人や、一度に大量に摂取した場合などは、精神作用を生むだけのTHC量に達する可能性があります。

プラシーボ効果 | 思い込みの力は絶大

もう一つに、「プラシーボ効果(またはプラセボ効果)」があります。これは、全く効力を示さないはずの薬品を「効果がある」と偽って処方したにも関わらず、それを服用した患者が症状の改善を訴える現象です。

この効果はかなり大きいようで、ある研究では不眠症患者の実に30%の人が、プラセボに対して優れた効果を示しました。また、プラセボだと教えてから処方した場合でさえも、この効果は小さいながら期待できるそうです。

CBDには「ストレスを減らす」「睡眠を改善する」などの潜在的な作用があることはよく知られていますが、これらの効果を知りCBDを摂取した人が「ひょっとして気分が良くなるんじゃ…」と思うのは自然なことです。

また、THCが持つ直接的な向精神作用とはかなり異なりますが、実際にCBDが私達の気分に間接的に影響する可能性は大いにあります。これについては後ほど詳しく紹介します。

「キマるのはTHCという成分」に騙されるな

CBD製品の購入に不安を抱えるお客さんの質問に対して、CBD専門店のスタッフが答える定番フレーズがあります。

“CBDにキマる作用はありません。
キマるのはTHCです

“THCにはハイになる作用がありますが
CBDにはそれがありません”

私も初めてこれらを聞いた時にはうかつにも信じましたが、大麻について調べるほど、これにはいささか語弊があると感じざるを得ません。問題は後半にあり、いくつかの研究は、THCに「キマる」や「ハイになる」効果が必ずしもあるとは言い難いことを示しています。

大麻で「ハイになる」がそもそも間違い

レクリエーション目的の大麻(=マリファナ)の主成分はCBDではなくTHCです。THCが人間の精神に及ぼす影響については、既にいくつかの研究があります。

その中で示されているTHCの精神作用は、私達がいわゆる “ドラッグ” に抱いているようイメージとはかなりかけ離れています。研究で示唆されているのは以下のようなことです。

THCを摂取すると、陶酔や酩酊状態になることがあり、食欲が強く刺激されます。人によっては、多幸感や清々しい気分を感じる場合もあり、THCの依存性はカフェインなどと同程度とされています。

THCが実際にどのような影響を与えるかについては個人差が非常に大きい部分ですが、全体的には「ダウン」の方向へ働くと見られています。「CBDでキマらない」のは間違いありませんが、だからといって “THCならキマる” というのは語弊を生む表現かもしれません。

CBDはストレスを感じにくくします

CBDは、THCのような向精神作用を持ちません。それなのに、「ストレスを緩和する」「痛みを抑える」「睡眠を改善する」などの “精神的チック” な効果が期待できるのは不思議だと思いませんか。

研究によると、確かにCBDが私達の精神に直接影響を与えることは無さそうですが、間接的に気分を変化させる作用は大いにある可能性が示唆されています。

ストレスを緩和する

ストレスの緩和は、CBDから受けられる代表的なメリットの一つです。

これは、CBDが私達の体内に存在するカンナビノイド受容体の一つである「CB2受容体」と主に結びつき、「内因性カンナビノイドシステム」の一部として働くことに起因します。内因性カンナビノイドシステムとは、私達の身体にあらかじめ備わっている「恒常性の維持」を支えるプログラムです。それは、不安だけでなく痛みや免疫、感情の制御なども司っていると考えられています。

痛みを抑える

CBDが慢性的または局所的な痛みを抑える理由の一つは、CBDが持つ「抗炎症作用」に起因します。CBDは、多くの痛みのもとである炎症を鎮めることで痛みを軽減する可能性があります。

もう一つは、疼痛調節の役割で知られる「オピオイド受容体」とCBDが相互作用することが示唆されています。オピオイドは、モルヒネのような鎮痛作用をもたらすことで知られています。

CBDは、オピオイド受容体の他にも、喜び、快楽などをコントロールするドーパミン受容体や、心の健康に関連すると言われるセロトニン受容体とも相互作用することが示唆されています。

睡眠を改善する

CBDが睡眠の質を改善するというのは、私達がCBDの摂取を始める大きな理由となっています。CBDが私達を眠りやすくするのには、どうやらCBDが持つ「抗不安作用」に起因しているようです。

実際に、不眠の原因として考えられていることの大半は、うつ、不安などの精神的な問題です。CBDは、不眠の原因となるストレスを抑制することで、眠りの質を高める可能性があります。

CBDは間接的にあなたの気分を良くします

ここまでで紹介してきた通り、CBDは直接の向精神作用は持ちませんが、神経伝達物質や脳内の受容体などと相互作用することで、間接的に私達の気分を良くしたり、精神的な変化を生む可能性があります。しかしながら、少なくともこれらの作用は「キマる」や「ハイになる」とはかけ離れたものです。

CBDの作用の本質は非常に複雑で、「使うと〇〇になる」などといった表面的な情報のみでは、まず理解できません。CBDに関する研究はまだ途中段階であり、今後も新たなメリットや、他の成分との相互作用についても明らかになってくるとみられます。CBDについてさらに学ぶことは、あなたの健康にきっとプラスの作用をもたらします。