大麻についてよく知られていることの一つは、その成分を摂取した人々に空腹感を与えることです。

では、大麻由来の成分であるカンナビジオール(CBD)もまた、私達のお腹を空かせるのでしょうか?

大麻摂取は食欲を増加させる

日本で大麻は禁止薬物であり、その栽培や所持、売買等が固く禁じられています。しかし世界中を見渡すと、大麻の所持や使用が合法だったり、実質犯罪にならない国・地域も多く存在します。

それらの地域で一般的に言われていることが、「大麻(マリファナ)を吸った後に極度の空腹感を感じる」という認識です。

これは実際、マスメディアの過剰な報道によって過大評価されている側面がありますが、大麻製品の摂取によって、使用者の食欲が増加することは事実です。

CBDに食欲増進作用はない

大麻が食欲増進に対して効果を発揮する反面、CBDが同じような作用を持つことはほとんどありません。そのため、一部の人が感じているという「空腹感」は、CBDの直接的な作用によるものとは考えにくいです。

しかし、CBD製品を摂取している人の中には、食欲が増えた、という実感を得ている人がいます。これに対して考えられる理由はなんでしょうか。

大麻に含まれるTHCが食欲に影響する

大麻が食欲増進を引き起こすのは、これに含まれる主要な成分の一つ、テトラヒドロカンナビノール(THC)の影響です。THCは、ヒトの身体にあらかじめ備わっている身体調節機能「内因性カンナビノイドシステム」の一部である「CB1受容体」と結合します。これにより、THCが空腹感に影響を与えると考えられています。

一方、CBDはCB1受容体に直接結合しないため、THCのような食欲増進作用を及ぼしません。

CBD製品で空腹感を感じる理由は…?

考えられる理由は以下の2つです。

・CBD製品の中にTHCが含まれていた
・CBDが持つ別の作用によって間接的に食欲が向上した

CBD製品の中にTHCが含まれていた可能性

海外で販売されているCBD製品の多くは、少量のTHCを含んでいす。大抵の場合THCは微量ですが、大量に使用した場合は、空腹感に影響を及ぼす程度のTHCを摂取できる可能性があります。

最大で0.3%未満のTHCが含まれている

海外で販売されているCBD製品の多くは、THCの含有率が0.3%未満の製品を「THCフリー」として合法的に販売しています。この「0.3%」という値は、THCが少ない麻の品種である産業用大麻の定義と同じ値です。

日本で売られている製品にもTHCが入っている可能性

日本では、0.3%未満のTHCであっても、THCが検出された時点で規制の対象になる可能性があります。そのため、日本向けの正しいCBD製品は、非常に高純度なCBDのみを抽出しています。現在ネットで買える多くのCBD製品は海外製品をそのまま輸入したものであり、少量のTHCが含まれている可能性があります。

しかしながら、大量のCBDオイルなどを摂取した場合は別ですが、一般的な量の使用では、この効果を実感できそうにはありません。

CBDで健康になった結果、空腹に?

THCの影響以外にもう一つ考えられることがあります。CBDは空腹を刺激する内因性カンナビノイドシステムに直接影響しませんが、CBDが持つと考えられている様々な健康的メリットによって、間接的に健康的な食欲が発生する可能性があります。

CBDは不安や緊張を緩和する

最近の多数の研究によると、CBDは、私達が脳内で不安や緊張を制御することに役立つことが示唆されています。そして、不安が少ない人はよりリラックスして、より多くの食事を受け入れるようになる可能性があります。不安を解消することで人の気分に影響を与えることで、潜在的な食欲の向上に繋がるのでは、と考えられています。

大麻の食欲増進は医療にも使われている

食欲は、健康状態が悪い時に真っ先に変化が現れる点です。栄養価の高い食べ物を摂らないと健康になりません。大麻に含まれるTHCは直接的に食欲を刺激し、CBDはメンタルヘルス的観点から間接的に食欲に影響する可能性があります。

世界には、大麻が持つこの作用を医療的に利用している人がおり、例えばがんやその他の病気による食欲不振・吐き気等を改善するために、THCを主とする大麻成分の薬が用いられています。

結論:CBDは間接的に食欲に影響する可能性がある

簡単にまとめると、大麻が摂取した人に空腹感を与える原因は、THCによるものです。そして、CBDはTHCのように直接的に食欲の増加には関与しません。

しかし、CBDが持つと考えられる、不安や緊張をほぐす効果によって間接的に健康的な食欲の増加に影響を与える可能性があります。

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