カンナビジオール(CBD)は、多くの症状に使用される、医薬品を使用しない自然療法を可能にする成分として人気が高まっています。

テトラヒドロカンナビノール(THC)は、大麻に含まれる主な精神活性作用のあるカンナビノイドであり、「ハイになる」感覚を引き起こします。しかし、CBDにはTHCのような精神作用はありません。

CBDは、マリファナや強力な医薬品が有する強い精神作用や副作用を表さずに、痛みやその他多くの症状を緩和します。これらのことから、CBDは症状緩和のための魅力的な選択肢となっています。近年、CBDはヘルスケア分野の研究において急速に勢いを増しており、いくつかの科学研究は、CBDが慢性的な痛みを緩和する可能性を示しています。

この記事では、科学的証拠に裏付けられたCBDオイル(及びCBD製品全般)の、健康上の利点についてお伝えします。

痛みを和らげる

大麻:いわゆるマリファナは、紀元前2900年まで痛みを治療するために使用されてきました。そして近年、麻に含まれるカンナビジオール(CBD)を含む特定の成分(カンナビノイド類)がこの痛みの緩和の効果を生み出すことを発見しました。(*1) 

人体には、エンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれる特殊なシステムが存在し、これは睡眠、食欲、痛み、免疫システムなどのさまざまな機能の調節に関与しています。体内から生成される内因性カンナビノイドは、神経系のカンナビノイド受容体に結合することで、これらの機能を調節しています。

研究によると、CBDが内因性カンナビノイド受容体を活性化させることで、炎症を軽減し、神経伝達物質と相互作用することで慢性的な痛みの軽減に役立つ可能性を示しています。(*2)

あるラットを用いた研究では、CBDの注射により、切開に対する疼痛反応が軽減されることがわかりました。さらにまた別の研究では、CBDの経口摂取により坐骨神経痛、及び炎症が大幅に軽減されることが示されました。(*3,*)

近年、いくつかの人に対する研究においても、CBDとTHCの組み合わせが多発性硬化症や関節炎、それに伴う痛みの緩和に効果的との結果を示しています。

また別の、関節リウマチの患者58人を対象とした研究では、CBDを含んだ治療薬によって、運動時の痛みや睡眠の質が大幅に改善されました。(*6)

抗不安・抗うつ作用

不安症(不安障害)、うつ病は、心身の健康や日々の生活に大きな影響を及ぼす代表的なメンタルヘルス障害です。通常の場合、これらの治療には医薬品が処方されますが、これは眠気や興奮、不眠症や性機能障害、頭痛など多くの副作用を引き起こす可能性のある、非常に効果の強いものです。(*7)

CBDは、不安症とうつ病の両方を改善するものとして有望であり、これらのメンタルヘルス障害とともに生活している多くの患者が、CBDの自然的なアプローチによる治療に興味を持ち始めています。

CBDのこれらの性質は、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっている神経伝達物質のひとつであるセロトニンの受容体にCBDが作用していることによるものと考えられています。

CBDには、いくつかの動物研究によって、抗うつ薬にも似た効果を示しています。(*9*10) 現在では、心的外傷後ストレス障害の子供や不眠症、不安障害の患者を安全に治療する方法として、CBDが用いられるようになりました。(*11)

がん関連症状の緩和

CBDは、吐き気や嘔吐、痛みなど、がんに関連する症状や、がん治療に関連する副作用の軽減に役立つ可能性があります。

ある研究では、鎮痛剤で痛みの緩和を得られなかった、がん関連の痛みのある177人の患者を対象に、CBDとTHCの効果が調査されました。研究によると、CBD及びTHCの両方を用いて治療した患者は、THCのみを投与した患者と比較して、痛みが大幅に減少しました。(*12

CBDはまた、化学療法によって引き起こされる代表的な副作用である、吐き気や嘔吐を減らすのに役立つ可能性があります。(*13)。これらの症状を抑える薬は既にあるものの、人によっては効果を示さない場合があり、代替薬を探している人も多く、CBDが注目されるようになりました。

いくつかの動物実験では、CBDが抗がん作用を持っている可能性さえ示しました。ある試験研究では、濃縮されたCBDがヒト乳がん細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を促進したことがわかりました。(*14)

だたし、これらの抗がん作用に対する研究は、動物または試験管によるものであるため、人に効果がある可能性を示唆するものに過ぎません。結論を出すには、人におけるさらなる研究が必要です。

にきびを減らす

にきびは世界人口の9.4%に影響を及ぼす、世界で8番目に流行している病気です。(*15)これは、遺伝や細菌、皮脂の過剰生産、その他多くの要因によって引き起こされると考えられています。(*16)

最近の科学的研究によると、CBDオイルは、その抗炎症作用と皮脂産生を減らす作用により、にきびの治療に役立つ可能性があります。(*17)

他の研究でも同様の効果を示しています。(*18)これらの研究結果は有望ですが、人を対象とした生体実験がまだまだ必要です。

神経保護作用

研究によると、CBDが内因性カンナビノイドシステム及び脳の神経伝達システムに作用することによって、神経障害のある人々にメリットをもたらすことがわかっています。

その中でも特に研究がさかんなのが癲癇(てんかん)や多発性硬化症などの神経障害の治療です。まだ研究段階ではありますが、既にいくつかの研究ではCBDによる有望な結果を示しています。

ドイツの神経リハビリテーションセンターの研究によると、CBDを含むカンナビノイド系がん疼痛治療剤「Sativex(サティベックス)」を276人の多発性硬化症患者に投与したところ、うち75%の患者に痙攣の減少が確認されました。(*19)

別の研究では、CBDオイルが、複雑な小児てんかん障害であるドラベ(Dravet)症候群の小児の発作の出現を減少させることがわかりました。(*20)

また他の研究では、CBDがパーキンソン病患者の生活の質と睡眠の質を改善したり(*21)、アルツハイマー病に関する神経変質の予防や認知機能低下の予防に役立つことが示されています。(*22)

心臓の健康に保つ

CBDは、高血圧を抑えたり、心臓や循環器系に関するいくつかの利点を示す可能性があります。高血圧は、脳卒中や心臓発作、メタボリックシンドロームなど多くのリスクの原因になりうるものですが、これにCBDが役立つ可能性が示されています。

ある最近の研究では、9人の健康な男性に600 mgのCBDオイルを1回投与したところ、プラセボと比較して安静時の血圧が低下しました。また、同研究では参加者にあえてストレスを与え、血圧を上げさせるテストも行われましたが、CBDを投与した男性は、通常よりも血圧の上昇が抑えられました。(*23)

血圧を下げるのを助け、心臓病やその他の炎症の予防や、細胞死の軽減に役立つ可能性を示した理由として、CBDが持つストレスや不安を軽減する性質がこれらにも影響を与えていると考えられています。

その他の潜在的なメリット

CBD は上記で挙げてきたような、様々な健康問題改善する効果と、その役割について研究されてきました。近年では、以下に示すようなさらなる潜在的メリットに関する研究も行われています。

現在研究が行われているCBDの潜在的メリット
  • 抗精神病効果:CBDが精神病の症状を軽減することにより、統合失調症やその他の精神障害のある人を助ける可能性があることが研究で示唆されています。(*24)
  • 薬物乱用の治療: CBDは、薬物中毒に関連する脳の回路を変更することが示されています。ラットでの実験では、CBDがモルヒネ依存とヘロイン探索行動を減少させました。(*25)
  • 抗腫瘍効果:いくつかの研究で、CBDは抗腫瘍効果を実証しています。動物における実験では、乳がん、前立腺がん、脳がん、結腸がん、肺がんの拡散を防ぐことも示唆されています。(*26)
  • 糖尿病の予防:CBDで治療を行った糖尿病のマウスの、糖尿病の発生率が56%減少し、炎症が大幅に減少しました。(*27)

CBDに副作用はありませんか?

CBDは、一般的には大きな副作用を示さず、安全性があると考えられていますが、一部の人では軽微な副作用が発現する場合があります。

まとめ

CBDは、健康上の様々な利点や諸症状の緩和に効果を示し、それが研究によって日進月歩で解明されています。ただし、これらのCBDにおける効果は試験管もしくは動物での研究段階のものも多く、今後さらなる人での実証実験・研究が必要です。

私たちも、CBDの有用性と安全性について多くのことも学ぶ必要があります。自然的な治療法として非常に有望なCBDは、今後新しい治療用途が確実に発見され、広まっていくでしょう。