米国でブームとなり、健康志向の広がりから、日本でもこれからブームが訪れるか?と期待されていたCBD(カンナビジオール)ですが、アメリカ食品医薬品局(FDA)が食物へのCBD添加を違法と発表したことを受け、ニューヨーク市保健精神衛生局は、CBDが添加された飲食物の販売を禁止すると発表しました。

米食品医薬品局(FDA)による発表

一方で、一部の関係者によると、「CBD製品は商店、レストラン、専門店など街の隅々まで浸透しており、今回の発表は、アメリカ全体及び州レベルにおける大規模な規制運動には繋がらないのではないか、との見方もあります。

CBD食品添加禁止はなぜ?

ニューヨークでは一昨年から正式にCBDを含む食品の販売を認めており、CBD関連ビジネスは急速な広がりを見せていました。そんなときに発表された「CBDの添加食品の禁止」。一体なぜでしょう?

「食品添加物としてのCBD」の安全性が未確認である

FDAの2019年11月25日付けの報告では、CBDの食品添加を認めるためには、安全性に関してまだ未解決な問題があること、そして今回の発表が、さまざまなタイプのCBD製品を合法的に販売するための経路の整備を続けているために行われたと記述しています。

NY市保健精神衛生局によると、「市民の健康を守る重大な責任がある。CBDが食品添加物として安全と見なされるまで、レストラン等にCBD入り食品を販売しないよう命じる。」と声明を発表しており、その理由が「食品添加物としてのCBD」の安全性の確認が取れていないことに起因していると考えられます。

潜在的なCBDの副作用を指摘している

また、FDAによる別の発表では、CBDが持つ潜在的な副作用の可能性に関して言及し、以下の可能性を示唆しました。これらの疑念が私達に与える影響が明確になるまでは、正式にCBD添加食品を認めることはできない、という見解であると受け取るべきでしょう。

私達が気づかないうちに起こる可能性もある副作用

肝障害を引き起こす可能性
他の薬物の代謝に影響を与えることで、その組み合わせによって深刻な副作用を引き起こす可能性
・アルコールや他の神経抑制薬との併用によって、想定以上の鎮静状態や眠気などを引き起こす可能性

比較的気づきやすい一時的な副作用

・眠気など、一般的に経験される覚醒状態の変化
・下痢や食欲減退を含む胃腸への影響
・過敏性や興奮などとして感じられる気分の変化

CBDが持つ未解決の重要な側面

CBDが持つ「安全性に関する未解決の問題」として、以下のことを挙げています。

・CBDの長期的な使用による影響
・子供など発達中の脳に対するCBDの影響
・ハーブなどの植物との相互作用は?
・一部の動物でのみ見られた「男性の生殖機能への毒性」はヒトでも起こるのかどうか?

一部の劣悪なCBDを規制し秩序を保つ狙いも?

CBD食品に関する正確な規制が無かったため、一部には劣悪なCBD製品が流出していたという側面があります。こうした無秩序な制度の中で開発された製品の中には、ラベルに記載されているCBDが入っていない「誤表示」程度のものから、ひどい場合では試験すらされておらず、細菌や重金属が含まれている製品まで流通している可能性があります。

これらは、CBDをグレーな市場に変化させ、悪徳業者たちは不当に利益を生み出し、正当な販売者には不当な競争を強いることに繋がります。これを回避するために、CBDに関する規制を強化するべきだと話す関係者もいます。

CBD食品添加の正しい規制のために行うべきこと

CBDを正しいマーケットに成長させるためには、独立した第三者機関による、効力・細菌・貴金属などの製品レベルの検査を行い、CBD製品を認証する制度が必要です。

また、ヘンプオイル、ヘンプシードオイル、フルスペクトラム、ブロードスペクトラムなど、現在一般的になっているラベル用語を統一し、これらを定義する明確な基準を定める必要があるでしょう。今回のFDAの規制発表によって、CBD産業の健全化が進み、結果としてさらなる業界の活性化に繋がることを期待します。

日本での影響は?

一部のテレビ番組でCBDが取り上げられたように、日本でもCBDの認知が広まってきています。しかしながら、日本におけるCBD規制は多くのCBD先進国と比べても非常に未熟であり、かなりグレーな状況です。CBD製品の輸入許可に関する基準すらも正式に発表されておらず、税関を通ったなら合法、引っかかったら違法、というブラックボックスな状態が続いています。

今回の発表を受け、日本でCBD添加製品(CBDグミやCBDウォーターなどが知られています)が厳しく規制されることは恐らく無いと見られます。しかしながら、CBD産業をよりクリアにしていくためには、日本でも今回のニューヨークのようなCBDに対する規制措置は必要不可欠となるでしょう。

今回の一件で、CBD産業が未熟であり、本格的に拡大するためには問題が山積みであることを認識させられたかと思います。そして、今後もCBDに関する最新の情報に目を光らせる必要があるでしょう。