近年、若年層のチューインガム離れが進み、ガムの需要は減少の一途をたどっています。そんな中ガムメーカーや起業家は「機能性ガム」に注目しています。ただ息をフレッシュにするだけでなく、エネルギーを高めたり、禁煙を助けたり、眠りを促したりといった独創的な機能を持ったガムが生まれています。

そして今年1月、コロラド州に拠点を置くガムメーカー「Synapse Limited Liability Company」は、CBD入りの液体コアを内部に包んだチューインガム、「Synapse(シナプス)」を発売しました。既に少なくとも5つ以上のメーカーからCBDを用いたガムが販売されていますが、「Synapse」ではCBDを含んだ液体コアを内部に含む独特の構造で差別化を図っています。

SYNAPSE CBDガム

SYNAPSE CBDガム。一個あたり15mgのCBDが含まれる
SYNAPSE CBDガム。一個あたり15mgのCBDが含まれる/SYNAPSE COMPANY

一粒当たり15mgのCBDを含んでおり、口の粘膜はCBDを吸収するのに最適な場所の一つです。”噛む”動作との相互作用もあり、リラックスや気分転換、集中力を高めるのに最適かもしれません。

様々な機能性ガムを手掛けるブランド「Apollo」

同社のガムブランドである「Apollo(アポロ)」を創設したTroy Widgeryによると、同ブランドは以前にもユニークな「機能性ガム」の開発に成功しています。苦味を抑えるために低カロリーな甘味料であるキシリトールの壁で包んだカフェインとビタミンを注入した液体コア入りガム「Apollo Energy Gum(アポロ・エナジーガム)」がその一例です。これは、一杯のコーヒーと置き換えることができるエネルギーサプリメントとして作成されました。

同社は他にも、時差ぼけを克服するための専用のガム「Fly Gum(フライガム)」や、ゴルファー向けに作成した「Golf Gum(ゴルフガム)」などのユニークな「機能性ガム」を販売しています。

2020 PGAショーでお披露目された「Golf Gum®」カフェインなどが含まれ集中力に寄与するとしている
2020 PGAショーでお披露目された「Golf Gum®」カフェインなどが含まれ集中力に寄与するとしている/thegolfwire.com

CBDの販売高は今後も急激に増加する

Apolloブランドの開発チームは約20人で、コロラド州・デンバーにある製品研究所で開発を行っています。同社の”コミュニケーションディレクター”であるScott氏は、今後、米国でのCBD関連の販売高は爆発的に増加するだろうと予想しています。

背景にはCBDの人気の高まりや自然的な健康法への関心が高まっていることもあり、日本でも数年遅れでCBDブームが訪れようとしています。

CBDオイル

CBD製品が「ガム」である理由

CBDの消費者は、ベイプやオイルなど特別な方法を用いずにCBDを手軽に摂取する方法を求めており、迅速に機能する持ち運びしやすい製品が求められているといいます。CBDをチューインガムで摂取するという人は現在はわずかですが、認知が高まれば、CBDオイルユーザーの一部はガムからCBD摂取するようになるかもしれません。

ガムでCBDを摂取する場合、消化管を通してではなく、口腔内の粘膜からCBDが摂取されます。CBDガム製造会社が主張していることとして、経口摂取であるCBDグミやサプリメントと比べ、ガムの方がCBDを迅速に吸収できると主張しています。彼らはまた、ガムによるCBD摂取は他の摂取方法よりも効率的にCBDの摂取できるため、対費用効果も高いと主張しています。

SYNAPSE CBDガムの製造マシーン
SYNAPSEの製造マシーン/SYNAPSE COMPANY

これらの主張の大部分は、確かに科学的に根拠が示されつつあるものです。ガムを噛むという動作には集中力を高めるなどの作用があると言われていますし、口腔内の粘膜は、CBDを体内に吸収するために最適な場所の一つです。CBDとガムの相性はかなり良いものと見られ、今後のさらなる製品開発も有望です。

しかしながら現在、アメリカの多くの地域では、CBDとその他の食品との組み合わせの相互作用によって起こるCBDの安全性が確認できていないとして、FDAはCBDを添加した多くの食品の販売を禁止するように呼びかけています。このような逆風があるものの、安全でないCBDの規制を行い、安全なCBD製品のみによるクリーンな産業を実現するためには必要なことです。今後もCBDに関連する情報に目を光らせながら、新たな有望なCBD製品を見られることを期待します。

情報元サイト:Forbes